市長メッセージ令和7年6月17日
令和7年第2回市議会本会議 開会挨拶(所信表明)
令和7年第2回竹原市議会定例会の開会に際しまして、一言御挨拶を申し上げますとともに、市政運営について私の考えの一端を申し述べ、議員各位並びに市民の皆様の御理解を賜りたいと存じます。
私事でありますが、先月13日から腰部脊柱管狭窄症のため2週間の入院、療養を経て、28日から公務に復帰しました。皆様方にはご心配をおかけしましたが、引き続き、市政運営に尽力してまいりますので、ご理解とご協力を賜りますようお願いいたします。
さて、先月22日に内閣府が発表した月例経済報告によると、わが国の経済の基調判断としては「景気は緩やかに回復しているが、米国の通商政策等による不透明感がみられる」としております。日本経済は、雇用・所得環境の改善や各種施策の効果により緩やかな回復が期待される状況ですが、トランプ関税と呼ばれる米国の通商政策の影響により景気の下振れリスクが高まるとともに、物価上昇の継続が個人消費に影響を及ぼしております。
本市においても、こうした経済情勢を踏まえ、原油価格や物価高騰等により事業の経費負担が増大している市内事業者に対し、第3弾の事業継続の支援金を給付するとともに、市内の障害者福祉施設や介護保険施設等に対しても、負担の軽減と事業の安定運営を支援することを目的に支援金を給付しているところであります。
併せて、今月1日からキャッシュレス決済サービスPayPay を利用した消費喚起事業を実施し、事業者の支援や市内消費の喚起、市民の生活支援を図っているところです。
引き続き、国及び県と緊密に連携しながら、地域経済の回復と市民生活の安定を図るため、物価高対策を含む生活支援施策、市内事業者への支援拡充、地域商業の活性化策など、経済・物価動向に応じた各種施策を積極的に実施してまいります。
次に、4月30日に市内で発生した建物火災については、竹原町新町地区において3棟、竹原駅前商店街では13棟の建物が被災いたしました。この火災により被災された皆様に改めて心からお見舞い申し上げます。
竹原駅前商店街は、本市の玄関口のひとつであり、市においても、近年では「Smile Park たけはら」の開催などを通じて、商店街の活性化に携わってまいりました。
今回の被災は、本市の賑わいの創出にも大きな影響を及ぼし、アーケードを含め、被災したエリアの再整備には多くの資金が必要となることから、駅前商店街への早急な支援策として、ガバメントクラウドファンディングを活用し、復旧・復興に係る資金を募り、対象となる事業に補助金を交付する予算について先般専決処分を行い、昨日から受付を開始したところであります。
今後におきましても、駅前商店街の復旧・復興に向けできる限りの支援を行ってまいりたいと考えております。
次に、持続可能な観光振興策などに向けた大久野島の活用に関する取組についてであります。
本市の観光振興において重要な地域資源である大久野島は、ウサギによる人気を博すものの、エサやりによる残渣(ざんさ)の島内環境への影響、島内にある近代遺構の劣化、インフラの整備などについて、所官省庁である環境省や本市においては、これらの課題認識を共有し、限られた予算の中での対応に取り組んでいるところであります。
現在、観光資源の維持と観光地の魅力向上を目的とする宿泊税が全国で導入され、広島県においても来年度から徴収が開始されることとなっており、また、廿日市市においては、既に宮島訪問税が導入され、観光地の整備に取り組まれている一方で、大久野島では法定目的税である入湯税を徴収しておりますが、温泉入浴利用者が課税主体であるため、その使途が限定され、島内の新たな行政需要に充当することができているとはいえない状況にあると認識しております。
大久野島の更なる活性化を図るためには、全国での取組を踏まえた際、政策を一層推進していく上において、財源の確保は大変重要であると考えており、国や市、関係者が有機的な連携や好循環の形成に向けて課題を共有し、持続可能な施策の計画的な実施にあたって、必要となる財源の確保に向けた仕組みの一環で、県内及び県外の観光地等で先例の取組として進められている法定外税である訪問税について、今後、外部の有識者を含め様々な機関を交えた組織を立ち上げて検討してまいりたいと考えております。
さて、本市においては、令和6年4月からスタートした第6次竹原市総合計画後期基本計画と、「竹原市人口ビジョン」における本市の課題を踏まえ策定した「竹原市デジタル田園都市国家構想総合戦略」を一体的に取り組むことにより、目指す将来都市像「元気と笑顔が織り成す暮らし誇らし、竹原市。」の実現に向け、まちづくりを推進しております。
このうち、人口減少対策の取組を更に加速し持続可能で魅力あるまちづくりを推進するため、令和7年度当初予算において定めた3つの「重点テーマ」の取組についてご報告いたします。
まず、1点目の「賑わいのある元気なまちづくり」についてであります。
移住者住宅支援事業、移住者転居費等支援事業、奨学金返還支援事業につきましては、対象者からの申請受付を開始しており、広報チラシや企業訪問により、事業のPRを図っているところであります。今後も広報、SNS等の様々な広報媒体も活用しながら、更なる事業の周知を図ってまいります。
中小企業人材確保支援事業につきましては、現在、申請受付を行っているところであります。引き続き、商工会議所などの関係機関と連携しながら本事業の周知に取り組み、若手人材が不足する市内中小企業等の人材確保の支援を行ってまいります。
多面的機能支払交付金事業につきましては、農業生産活動を通じた国土の保全、水源の涵養等を図るため、地域共同で行う多面的機能を支える活動や地域資源の質的向上を図る活動に補助金を交付するものであり、現在、国への補助金交付申請、地域と農用地を維持管理するための協定締結へ向けた準備を行っているところであります。
今後におきましては、協定を締結した地域に対して支援を行うことで、地域資源の適切な保全管理の推進を図ってまいります。
観光プロモーション及びブランディング推進事業につきましては、現在、一般社団法人竹原観光まちづくり機構が実施主体となり、国内の観光イベントへの出展や国外の旅行博への代理出展などを通じた観光プロモーションの展開をはじめ、本市の魅力を広く発信する新しいパンフレットやポスター等のブランディングツールの制作などに取り組んでいるところであります。
同機構は、本年3月25日に、「登録DMO」と呼ばれる「登録観光地域づくり法人」として官公庁の認定を受けたところであります。本市といたしましては、引き続き、本市の観光戦略を中心となって推進する同機構と連携し、観光客数の増加及び観光消費額の拡大を図るとともに、持続可能な観光まちづくりの実現に取り組んでまいります。
亀田家住宅取得・保存活用事業につきましては、先人から受け継いだ町並み保存地区を次世代に継承するため、本年3月に町並み保存地区内に所在する亀田家住宅を寄附により取得し、土地の境界確定や所有権移転登記が完了したところであります。
今後におきましては、亀田家住宅の歴史的・文化財的価値を明確にする詳細な調査を行うなど、積極的に保存と活用を進めてまいります。
今井政之顕彰施設整備事業につきましては、顕彰する施設の基本理念や必要な機能、施設整備候補地等について、有識者等で構成する基本構想策定委員会等から意見をいただき、本年5月に竹原市今井政之顕彰施設基本構想を策定したところです。
今後におきましては、基本構想に基づいて施設の整備、管理運営にあたって官民連携手法を検討するため、サウンディング調査等も行いながら、施設の基本計画の策定に取り組んでまいります。
未来の人材育成推進事業につきましては、令和3年度にハワイ州ホノウリウリミドルスクールと姉妹校締結を行い、学校間交流を重ねてまいりました。
今月12日から4日間の日程で、同スクールの生徒14名と校長を含む引率者4名の本市への訪問が実現し、竹原中学校の生徒と交流を行うとともに、生徒を受け入れてくださったホストファミリーにおいて、日本の文化を直接体験できるホームステイを行いました。今回の交流を活かし、8月には4回目となる本市中学生によるハワイ州への海外派遣研修を実施する予定としており、引き続き、国際交流活動を継続し、児童生徒の異文化・自文化理解を深め、グローバル教育の一層の充実を図ってまいります。
次に、2点目の「安全で安心して元気に暮らせるまちづくり」についてであります。
鳥獣被害対策事業につきましては、本年4月1日から広島県が設立した中間支援組織である広島県鳥獣対策等地域支援機構へ参画し、市内全域において、専門知識を有する専任者による鳥獣被害等の実態把握や住民への現地指導、現地対応等を行っているところです。
引き続き、専任者によるスピーディーで効率的かつ住民に寄り添った鳥獣被害対策を実施することで、野生鳥獣による農作物被害の減少を図ってまいります。
地域防犯カメラ設置補助事業につきましては、安全・安心なまちづくりに向けた地域の自主的な取組を支援するため、新たに防犯カメラの設置費用の一部を補助する制度を創設したものであり、地区防犯組合等からの申請を受け付けているところです。
現在、1箇所ですでに設置が完了しており、その他に工事中の箇所が1箇所あるとともに11団体から具体的な設置の相談を受けているところです。
引き続き、希望される団体が早期に設置できるよう支援するとともに、広く制度の周知を図ってまいります。
災害用備蓄整備事業につきましては、南海トラフ巨大地震等の大規模自然災害に備えるため、災害応急救援物資の計画的な備蓄を推進するものであり、現在、広島県において能登半島地震の被害を教訓として被害想定の見直し作業が進められているところであります。今後、本市においても備蓄計画の見直しや避難所における生活環境の改善等を図ることとしており、引き続き災害への備えを強化してまいります。
公共施設ゾーン再整備事業につきましては、複合施設整備についてアンケート調査やワークショップ等で市民の皆様からいただいたご意見に加え、「官民連携手法」を活用した整備・運営に向けた設計・建設・運営事業者によるサウンディング調査の結果を踏まえ、事業者に求める要求水準を定めるとともに、所要の予算額についても積算を進め、先の特別委員会においてご説明をさせていただいたところであります。
本定例会におきましては、事業者の選定に向けた債務負担行為に係る予算案を提案いたしており、これまでの事業検討の段階から本格的な事業着手へと移行することから、市民の皆様のご期待に応えるべくできるだけ早期に整備が完了できるよう、引き続き着実に取り組んでまいります。
さて、本年3月に市道忠海学園線及び市道堀越新地町線の道路改良事業が完了し、現地において行われた開通イベントでは、忠海学園の児童生徒や地域住民の皆様など、多くの関係者から完成をお祝いするお言葉をいただきました。
歩道整備や国道からの車両アクセスの改善により、忠海学園に通学する児童生徒の安全の確保を図るとともに、物資の輸送など、災害時における忠海学園の避難所としての機能向上も期待されており、今後とも適正な維持管理に努めてまいります。
緊急自然災害防止対策事業につきましては、林道三津仁賀線及び林道宿根線における防災対策工事の調査設計業務に着手したほか、市道沿いの崩土流出箇所への待ち受け擁壁や土留め擁壁等の施工、河川の河道整備や護岸整備、排水機場の整備など、災害の発生及び被害の拡大を防止するための防災・減災事業を実施してまいります。
本川流域治水の取組につきましては、大王雨水ポンプ施設の運用を開始し、排水能力の向上が図られたところであり、引き続き、周辺整備を進め地区内の浸水被害の軽減に努めてまいります。
次に、3点目の「健康で元気に暮らせるまちづくり」についてであります。
こども園及び放課後児童クラブのICT化事業につきましては、スマートフォンアプリやタブレット端末による業務支援を行うシステムを導入するものであり、こども園においては令和8年1月から、放課後児童クラブにおいては令和8年4月からの稼働に向けて、現場の保育士等の意見を聞きながら仕様を検討しており、8月にプロポーザルを行う予定としております。
これまでアナログ方式で管理していた登降園管理等をデジタル機器で行うことにより、利用者の利便性向上や職員の事務効率化が図られるものであり、今後におきましても、デジタルを活用したサービスの質の向上と充実を図り、子育て支援のさらなる推進に努めてまいります。
5歳児健康診査事業につきましては、保護者に子どもの年齢に応じた課題への気づきを促し、早期に適切な支援を行うため、本年8月からの事業実施に向けて関係団体と協議・検討を進めております。
今後におきましても、引き続き、妊娠期から子育て期までの切れ目のない支援を行う拠点であるこども家庭センターにおいて、妊娠・出産・子育てに関する相談対応や妊産婦及び乳幼児の健康の保持・増進を推進するとともに、関係機関と連携しながら、必要に応じた支援を迅速に提供してまいります。
骨粗鬆症検診・予防事業につきましては、骨粗鬆症及びその予備軍を早期に発見するため、骨粗鬆症検診を医療機関において今月から開始しております。高齢者の体操グループや、乳幼児健診での保護者への骨密度測定なども実施することとしており、今後におきましても、骨折や寝たきりの予防を図るなどの骨粗鬆症対策の取組を推進してまいります。
高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施事業につきましては、医療・健診・介護に関する情報から本市の高齢者が抱える健康課題を整理し、医療講演会や「通いの場」などを活用した骨密度測定や健康相談の開催、医療専門職による専門的な指導の実施などを通じ、生活習慣病やその重症化の予防、骨折やフレイルの予防に取り組んでおります。
引き続き、高齢者が地域でいきいきと健康的な生活を送ることができるよう健康寿命の延伸を図るとともに、適切な医療機関の受診につなげてまいります。
本定例会では、任期満了に伴う教育長の任命に係る人事案件、芸術文化施設の整備に要する経費の財源に充てる基金の設置条例案、(仮称)賀茂川学園整備工事の間、賀茂川中学校の仮設校舎として東野小学校の一部を利用することに伴う市立学校設置条例の改正案、一般会計及び下水道事業会計の繰り越した経費の報告などのほか、大久野島の資源活用等に係る官民連携手法の検討調査、市内の各学校の校務系ネットワークの再構築等の経費等を計上した補正予算案など、合計18件を上程しております。
これらの詳細につきましては、この後、各担当からご説明申し上げますが、議員各位におかれましては、何卒、慎重に御審議いただいた上、適切な御決定を賜りますようお願い申し上げます。
令和7年6月
竹原市長 今榮 敏彦
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更新日:2025年06月17日