食育のすすめ
かわいい子どもたちのために、心を育てる・体を育てる「食」について考えてみましょう。
脳の栄養
子ども達の健康のために、朝ごはんが大切であるというは、誰もがわかっていることですね。でも、朝のあわただしさの中、ついついおろそかになってしまうこともあるのではないでしょうか。
毎年実施されている小学校5年生の体力検査や学力検査で朝ごはんを毎日食べるという児童の方が、あまり食べないと答えた児童より、どちらも得点が高いというデーターが出ています。
脳のエネルギーは肝臓に蓄えられたぶどう糖ですが、肝臓には12時間分のぶどう糖しか蓄えられないといわれています。朝ごはんを抜いてしまうと、前日の夕食から給食までの長い時間(17時間以上)がたち、体も脳も栄養不足になってしまいます。それでは勉強しようと思っても、イライラしたり、集中力がなくなったりして勉強ができませんよね。
だからといって、ぶどう糖になるごはんなどの炭水化物ばかり食べるのではなく、体温の上昇を促すたんぱく質や、いろいろな栄養素の働きをサポートするビタミンやミネラルも必要です。ほかの食事と同様、赤・黄・緑の食品をそろえたバランスのとれた朝ごはんを食べて欲しいと思います。
幸い、日本食には昔から「主食」「主菜」「副菜」という食事の基本形態があります。うまく組み合わせて子どもたちが楽しい一日をすごす手助けをしていきましょう。
- 主食-おもに炭水化物を含むもの
- 主菜-おもにたんぱく質を含むもの
- 副菜-おもにミネラル・ビタミンを含むもの
塩分(食塩)
塩味として料理の味をよくするだけではなく、塩蔵のように保存料としての役目もあります。体内では、胃液の分泌を促進し消化を助けたり、体内の水分量のバランスを調節したり、人間が生きていくうえで、とても大切なものです。
しかし、その塩分もとりすぎると健康によくないこともあるのです。
- 味覚が塩味に鈍感になり、食塩をとる量がますますふえます。
- 心臓や腎臓に負担を与え、循環器系 (血管など)の病気の原因になることがあります。
- 胃の粘膜に害を与え、胃炎や胃ガンになる率が高くなります。
日ごろから、健康のためにとりすぎに注意が必要です。特に、子ども達の味覚は成長の段階です。将来の健康のためにも、子どもの頃から薄味になれた食事をするよう心がけましょう。
1日の塩分 (2005年版日本人の食事摂取基準)
小学校中学年
7グラム未満
中学生
9グラム未満
おとな
- 男10グラム
- 女8グラム
未満
〔学校給食では一日の1/3の塩分を目安に味付けをしています〕
うす味にするための調理の工夫
食品の持ち味を生かす | 鮮度のよいものや旬のものを利用し、その持ち味で食べられるように工夫しましょう |
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酸味を上手に生かす | かんきつ類の汁や酸味のある食品(ゆず、レモン、梅干、ヨーグルト等)を和え物や焼き物に利用してみましょう |
香ばしさを利用する | 和え物に煎りごまを入れたり、焼きなすなどの焼き物には適量のしょうゆをかけたりし、香ばしさを出しましょう |
香りを生かす | 香りが強い食品(しそ、みょうが、みつば、しょうが、ねぎ、ピーナッツ、のり、かつおぶし、ゆず等)を上手に生かしましょう |
油味を上手に利用する | 揚げたての揚げ物・油いため・サラダなど油の味を利用して食べましょう |
カルシウム
カルシウムは、丈夫な骨や歯をつくるためにかかせない栄養素です。また、血液の中にも一定の量があり、心臓や脳の働き、筋肉の収縮、ホルモンの分泌、血液の凝固など、生命を維持するためにさまざまな働きをしています。
カルシウムが不足すると、骨がもろくなるのはもちろん、神経の興奮を抑える働きが低下してイライラしやすくなったり、高血圧や動脈硬化の原因になったりします。
からだの中のカルシウムは、毎日少しずつからだの外に出て行っています。そのため、食べ物でそれを補わなくてはいけません。大切な働きをしているカルシウムをしっかりとりましょう。
カルシウムを多く含む食品(いろいろな食品を組み合わせてとりましょう)
カルシウムは吸収されにくい栄養素です。カルシウムを多く含む食品をとるだけでは意味がありません。生活習慣にも気をつけましょう。
カルシウムの吸収を助けるビタミンD
- 日光浴でつくられます。(紫外線)
- 干ししいたけや、レバー・さんま・いわし・さば・ぶり・かつおなどの魚でとれます。
骨の成長を助ける運動
太くて丈夫な骨をつくるには、子どもの骨に刺激を与える必要があります。
運動が不足すると、骨の形成が十分に行われません。発育期に骨の量を増すためには、適度の運動は欠かせないのです。
加工食品のとりすぎには注意しましょう
即席めんやハム、スナック菓子、炭酸飲料はリンが多く含まれています。
とりすぎると余分なリンが体外に出る時カルシウムも一緒に連れ出してしまいます。
ビタミンB1・B2
ビタミンは、人間が食品から摂取した糖質や脂質がエネルギーに変わったり、たんぱく質が体を作ったりするのを、サポートする働きがあります。その中でもビタミンB群は摂取した糖質や脂質をエネルギーに変える時に必要な栄養素です。
ビタミンB1
ビタミンB1は、糖質をエネルギーに変えるのに必要で、不足すると糖の代謝を悪くするので、脳のエネルギーが足りなくなり、イライラしたり、ぼんやりしたりします。また、疲労の元になる乳酸をエネルギーに変えるはたらきもあるため、疲れにくい体をつくるのにも大切です。
ビタミンB1が疲れをとるしくみ
疲れの元になる乳酸がたまる→ビタミンB1が乳酸を燃やす手伝いをする→乳酸が燃えてエネルギーになる(元気になる)
ビタミンB2
ビタミンB2は、脂質の代謝に必要なビタミンです。細胞の再生にも関係するので、脂肪の多い食事にはビタミンB2を多く必要とします。不足すると脳の発育を阻害したり、口内炎ができたりします。
不足すると
成長期の子どもたちにも大切なビタミンB1・B2です。不足すると成長にも大きく関わってきます。まとめて食べても体の中にとり置きできないので、毎日補給することが大切です。ビタミンB1・B2を含む食品を取り入れるようにしましょう。
ビタミンB1の多い食品
グリンピース
豚肉
たまご
ごま
ビタミンB2の多い食品
ピーナッツ
乳製品
魚
海藻
レバー
水分
水分は体を正常に機能させるためにとても重要な役割をしています。大人の場合、体重の50〜60%を占め、栄養素の摂取や消化・吸収、体液の流動・代謝物の排泄・体温の調節・体細胞の維持に使われます。
暑い時期には、体温が上昇しすぎるのを防ぐため、体内の水分が汗として出ます。その水分を補給しないと熱中症などになるおそれがあるのです。炎天下の外出や運動などをする時には、こまめに水分を補給しましょう。
夏の飲み物の飲み方を考えよう
暑い夏、のどが渇いたとき何をのみますか?牛乳?麦茶?清涼飲料水?夏は多くの水分をとる必要がありますが、さとうの多く含まれた清涼飲料水のとりすぎは健康によくありません。清涼飲料水を飲むときに気をつけたいこと、そして、夏の飲み物について考えましょう。
夏の飲み物の飲み方 7つのポイント
- 清涼飲料水を水の代わりにしない。
- 清涼飲料水は冷蔵庫に常備しないようにする。
- 食事の前は飲み物を飲み過ぎないようにする。
- おやつの時は、麦茶や牛乳にする。
- 外出する時は、お茶を持っていくようにする。
- 甘さを感じにくくなるので、清涼飲料水は冷やしすぎない。
- 清涼飲料水を飲む時は、コップなどにつぎ分ける。
スポーツドリンクは多量に汗をかいた時に、失われた水分や塩分を補給するのに役立つ飲み物ですが、スナック菓子を食べながら飲むと、塩分の過剰摂取になります。また、さとうが多く含まれている物もあります。スポーツドリンクを飲む時は、体調にあった飲み方をしましょう。
炭水化物
炭水化物はみなさんが食べている穀類(ごはん・パン・めん類)や、いも類・砂糖類に多く含まれています。これらは、みなさんの体に入るとエネルギーになる代表的なものです。
一日に必要なエネルギー量の50%以上を炭水化物からとるほうが、生活習慣病予防になるといわれています。
穀類を毎食とるようにしましょう
穀類はみなさんが主食として食べています。これらが主にエネルギーをとるための食品です。穀類の主成分はでんぷんでできていて、エネルギー源としてとるにはでんぷんは最適です。でんぷんは、体の中で消化されてブドウ糖という単糖類になり、エネルギー源として使われます。
いも類をとりましょう。
いも類の中には、じゃがいも・さといも・やまいもなどがたくさんあります。その中でも、じゃがいもはでんぷん質を多く含んでいる上、ビタミンCが多く、加熱しても栄養素がくずれないので、外国ではじゃがいもを主食として食べている国もあります。
砂糖はひかえめに
砂糖は摂るとすぐエネルギーになるので、活動のもとになりますが、摂り過ぎると血液中の脂肪やコレステロールを増加させる作用があり、肥満や心臓病・糖尿病になるおそれがあるので気をつけましょう。また、虫歯の原因にもなりやすいので注意が必要です。
カルシウムを阻害するので、成長期の子どもたちにとっては配慮が必要です。
子どもたちの好むお菓子や清涼飲料水の中は、たくさんの砂糖が入っているものがあるので、とりすぎには気をつけましょう。
脂質
油=脂質というと「カロリーが高い」「太る」など、どうしても悪いイメージばかりが先行してしまいます。脂質はたんぱく質や糖質と並んで三大栄養素のひとつで、私たちの健康を維持していく上では、なくてはならないものです。
でも、摂り過ぎると、生活習慣病をまねく原因にもなってしまいます。また、反対に不足し過ぎると、血管や細胞膜が弱くなったり、肌荒れの原因になったりします。
脂質は人間に不可欠な栄養素です。
脂質の主な働き
- 1グラムあたり9キロカロリーのエネルギーになる
- 生体膜(細胞膜・核膜など)の構成成分になる
- 血液の成分となる
- 貯蔵脂肪になる
- ビタミンA、D、Eなどの脂質性ビタミンの吸収を助ける
- ステロイドホルモンを合成する
このように、脂質は私たちの体の基礎を作り、エネルギーの源となる大変重要な役割を担っています。
脂質の種類を知りましょう。
脂肪酸は脂質の主な構成成分で、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸とがあります。飽和 脂肪酸を普段から多く摂取していると、血液中のコレステロールが増えすぎて、動脈硬化・脳卒中・狭心症・心筋梗塞などの疾患を招く恐れがあります。それに対して、飽和脂肪酸は血中のコレステロールを減らす働きがあります。
飽和脂肪酸を多く含む食品には、ラードやバター、肉の脂身などがあります。
スナック菓子やチョコレートにも隠れています。
不飽和脂肪酸を多く含む食品には、魚の油や食物油です。
上手に脂質を摂るようにしましょう。
成人では、一日の摂取カロリーのうちの20%〜25%が理想です。
一日の食事の中には、肉類やスナック菓子などの「見えない油」があります。調理に使う植物油などの「見える油」を減らすことも大切ですが、「見えない油」を減らすようにすることも、生活習慣病の予防につながります。
また、食物せんいは脂質を体外に出す働きがあります。食物せんいを多く含む食品(野菜・果物・豆・豆製品・海藻)を一緒にとるようにしましょう。
食物せんい
日本人は昔から、穀類・野菜・豆類・いも類・海藻類など、食物せんいの多い食品を豊富に食べてきました。ところが、食生活が欧米化するにつれ、食物せんいの摂取量はどんどん減少してきています。食物せんいの働きを知って、日常の食生活に取り入れるようにしましょう。
食物せんいのはたらき
- 便秘の予防
食物せんいは便の量を増やし、胃腸の中にとどまっている時間を短くします。 - 発ガン性物質生成の制御
有害物質(発ガン物質・添加物・金属イオン・有機物質など)を吸着しすみやかに体外に出す働きがあります。 - 血中のコレステロールを減少させる
コレステロールの腸内での吸収は、胆汁酸により行われていますが食物せんいは、この胆汁酸を吸着するので、脂肪やコレステロールは消化されないまま便の中に排出されます。 - 肥満の防止
食物せんいの多い食事は、噛むのに時間がかかって満腹感がえられます。また、不消化物質が多く、栄養物の吸収を一部阻害することなどから肥満を予防します。
食物せんいは1日あたり20〜25グラムとるのが望ましいといわれます。
食物せんいをとるポイント
- 加工食品に頼らず、もとの素材から料理して食べましょう。
- 野菜をたくさんとるようにしましょう。(煮たり、炒めたりすると
たくさん食べられます。 - 海藻類・豆類は食物せんいを多く含むので、食卓の常備菜などに利用しましょう。
マグネシウム
成人の体内にあるマグネシウムの約60〜65%は骨に含まれています。そのため、骨はマグネシウムの貯蔵庫と言えます。
マグネシウムのはたらき
- 神経の収縮をうながす。
- 神経の興奮をしずめる。
- 体温や血圧を調整する。
などの働きがあります。不足すると筋肉の収縮がうまくいかなくなって、手足にふるえやけいれんが現れます。これが、血管内でおこると、狭心症や心筋梗塞につながったりします。また、神経の働きにも影響がでて、イライラしたり、興奮しやすくなったりします。
1日の所要量は、成人男性が320ミリグラム・成人女性が260ミリグラムです。
小学生は、120ミリグラム〜170ミリグラムなので、校給食では1・2年生は60ミリグラム、3・4年生は70ミリグラム、5・6年生は80ミリグラムが取れるように考えています。
マグネシウムをとるポイント
- 不足しがちなミネラルなので、マグネシウムを多く含む種実類や豆類・海藻類を意識して食べましょう。
- ストレスの多い人や、加工食品を多く食べる人、飲酒や外食の機会が多い人は、特に積極的に食べることをおすすめします。
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更新日:2022年01月14日