市長メッセージ令和7年9月2日
令和7年第3回市議会本会議 開会挨拶(所信表明)
令和7年第3回竹原市議会定例会の開会に際しまして、一言御挨拶を申し上げますとともに、市政運営について私の考えの一端を申し述べ、議員各位並びに市民の皆様の御理解を賜りたいと存じます。
まず、人口減少対策に関する取組についてであります。
総務省の人口推計によると、我が国の総人口は令和7年3月1日時点で1億2,342万人で、2008年の約1億2,800万人をピークに減少が続いており、広島県においても令和7年6月1日時点の推計人口が48年ぶりに270万人を割り込むなど、想定以上のペースで人口減少が進行しております。
本市においても、少子高齢化及び人口減少が加速度的に進行し、昨年4月には「人口戦略会議」が公表した令和6年地方自治体「持続可能性」分析レポートにおいて、消滅する可能性の高い自治体の一つと位置づけられたところであります。この課題に正面から向き合い、挑戦していくため、去る8月8日に、市と竹原商工会議所が発起人となり、市民・企業・団体等87者が参画し、「ALL竹原きらっと未来創造会議」を設立しました。
この会議は、竹原に関わるすべての力を結集し、若者や女性が「私らしく、輝けるまち」を目指すプラットフォームであり、立場や世代を超えて繋がり、知恵を出し合うことにより、これまでの取組をさらに加速させ、ALL竹原で人口減少対策に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、芸術・文化に関する取組についてであります。
先月7日から20日まで、本庁舎において開催した、本市ゆかりの陶芸家 今井政之先生の作品展につきましては、新庁舎移転記念展として市民の皆様に芸術・文化に触れる機会を提供することを目的に、今井家からご寄附いただいた作品の中から「面象嵌」の大皿など、30点の作品を今井先生の言葉とともに展示し、市内外から多くの方にお越しいただきました。
この作品展を通じて、豊かな自然や動物と植物をモチーフにした温かく、生命の息吹を感じさせる作品の素晴らしさとともに、今井先生の様々な技法に対して果敢に挑戦する情熱や陶芸に向き合う真摯な姿勢などを改めて多くの方に感じていただけたものと考えております。
次に、戦後80年の取組についてであります。
戦後80年の節目を迎えた今年、改めて、先の大戦で犠牲となられた全ての方々に対し、哀悼の誠を捧げ、心からご冥福をお祈りいたします。
80年という時の流れとともに、戦争を知る世代は年々少なくなり、当時の記憶や教訓が次第に風化しつつあるといわれている中、広島・長崎の原爆被害の実相や大久野島の毒ガス製造の歴史を振り返り、改めて戦争の悲惨さ、平和の尊さを伝えることを目的に、先月1日から15日まで、本庁舎において戦後80年特別企画展を開催し、小中学校の児童生徒を含め、多くの方にご来場いただきました。
また、8月6日に開催された広島平和記念式典には、市内の中学生8名を派遣し、他市町の生徒と交流を図りながら平和学習に参加するなど、核兵器がもたらした悲惨な歴史や平和の尊さを学び、平和の祈りを次世代へ繋げられるよう取り組んでいるところです。
今後におきましても、関係機関等と連携を図りながら、戦争の悲惨さや平和の尊さを次世代へ継承していくため、平和に関する様々な取組を進めてまいります。
次に、竹原駅前商店街の火災からの復興への支援についてであります。
6月16日から受付を行っているガバメントクラウドファンディングを活用した竹原駅前商店街の火災復興支援につきましては、多くの皆様からの御支援により、現在、目標額の50%を達成したところであります。
改めて、御支援・御協力をいただいた皆様に深く感謝申し上げます。
引き続き、目標額の達成に向け、広報紙やホームページ、SNSなどはもとより、様々な媒体を効果的に活用し広く周知を図り、一日も早い竹原駅前商店街の復旧・復興が実現し、賑わいを取り戻すことができるよう取り組んでまいります。
続いて、竹原市総合計画に掲げる将来都市像「元気と笑顔が織り成す 暮らし誇らし、竹原市。」の実現に向け推進している施策のうち、人口減少対策の取組を更に加速し持続可能で魅力あるまちづくりを推進するため、令和7年度当初予算において定めた3つの「重点テーマ」の取組についてご報告いたします。
まず、1点目の「賑わいのある元気なまちづくり」についてであります。
ふるさと就職応援給付金事業につきましては、来年度からの申請受付に向け、市内中小企業等へ周知を行っているところです。
引き続き、商工会議所などの関係機関と連携を図りながら、本事業の周知に取り組み、若手人材が不足する市内中小企業等の人材確保の支援を図ってまいります。
ふるさと納税推進事業につきましては、一般社団法人竹原観光まちづくり機構において、ふるさと納税ポータルサイトの管理、返礼品発注及び配送管理業務、返礼品の企画・提案業務等に係る支援業務を推進しているところであります。
本年7月末時点のふるさと納税寄附金の受け入れ状況は、対前年同月と比較して約2,800万円の増加となっており、今後におきましても、制度改正の動向などに留意しながら、関係団体等との連携を強化し、ふるさと納税による歳入の確保並びに本市の魅力発信及び地域産業の活性化を図り、本市の魅力向上に向け取り組んでまいります。
歴史的風致維持向上事業につきましては、本市の有する貴重な文化財や歴史的な景観を維持及び向上させるため、市重要文化財の旧森川家住宅の保存修理について、離れ座敷の曳家後に新たに発見した基礎コンクリートの保存・修理方法の検討・整理を行ったところであります。
引き続き、旧森川家住宅の地盤改良、基礎工事等の修理を進めるなど、本市の誇る財産である文化財や歴史的景観について、保存と活用の両面から積極的に取組を進めてまいります。
竹原発スタートアップ支援事業につきましては、新たな人財を呼び込み、新規事業の創出、産業分野の人財育成に繋げることを目的に、令和5年度からこれまでに10社のスタートアップ企業が市内事業者と協業しながら実証活動を行ってきており、旧松阪家住宅及び藤井酒造酒蔵交流館において、市内観光の滞在時間延長に向けて歴史や文化を音声ガイドと位置情報で楽しむ体験型事業や、市内のこども園及び宿泊施設を所有する事業者と連携し令和5年度及び令和6年度に海外からの6組を含め、20組が本市を訪れた保育園留学事業などの取組を進めてきた中、現在、2社が本市に支店を登記されるほか、市内事業者と連携し事業を継続するスタートアップ企業も出てくるなど、本市の産業の活性化に大きく繋がっているものと考えております。
また、先月21日には、今年度、実証活動を行う5社のスタートアップ企業や市内事業者及び関係者とともにキックオフイベントを開催したところであり、引き続き、本市の産業の活性化やにぎわいの創出に向け取り組んでまいります。
観光プロモーション事業及びブランディング推進事業につきましては、本市の認知度向上、竹原ブランドの周知を図るための竹原観光ガイドブックや観光ポスターの刷新、地方誘客促進のための地域資源を活用した高付加価値ツアーの造成など竹原観光まちづくり機構を中心に取り組んでおります。
引き続き、同機構及び市内事業者を中心に、市内の事業者等と連携しながら、観光客数及び観光消費額の増加に取り組むことで、持続可能な観光まちづくりの実現を図ってまいります。
移住定住促進事業につきましては、首都圏で開催された移住フェアへ参加し、合計24名の移住相談に対応するとともに、昨年度設置した移住サポートセンターにおいて39件の移住相談に対応した結果、5名の移住者と2名の二拠点居住者が誕生したところです。
引き続き、交流人口や関係人口の創出・拡大を図る中で、移住定住に繋がるよう、地域移住コーディネータ等と連携し、取組を進めてまいります。
次に、2点目の「安全で安心して元気に暮らせるまちづくり」についてであります。
消防団施設統廃合事業につきましては、地域防災の中核を担う消防団の活動拠点である格納庫の機能強化と適正な配置を目的に実施するものであり、今年度においては吉名地区の施設の統合及び新設を進めているところであります。
現在、施設の建設に係る設計業者を選定し、消防団活動において必要な施設の機能などについて、地元消防団の代表者と協議を行っているところであり、消防団の意向も踏まえて設計内容を決定し、年度内の建設を目指すとともに、市内各地区における消防団活動の充実・強化を図ってまいります。
校務環境整備事業につきましては、今月末までに校務用パソコンの更新が完了する予定であり、校務支援システムは令和8年4月1日からの稼働に向け準備を進めており、今後、事業者の選定を行い、順次、システムを構築してまいります。
引き続き教育DXを推進し、教育環境の充実や教職員の働き方改革など各種取組を進めてまいります。
町並み保存地区周辺地区舗装改修事業につきましては、平成初期に整備した石畳が整備から30年以上を経過し、老朽化対策が必要となっていることから実施するものであります。
快適で衛生的な生活環境の確保や浸水被害の防止を図りながら、将来のライフサイクルコストの縮減を図るため、公共下水道事業とあわせて改修を行うこととし、現在、歴史的景観に調和した舗装の整備方針の策定に取り組んでいるところであります。
引き続き、市民の景観意識の醸成など竹原らしい景観を守る取組を進めてまいります。
認知症高齢者等見守り事業につきましては、行方不明になるおそれのある認知症高齢者等の早期発見・保護を目的に、衣服や持ち物などに貼るQRコード付きのシールを交付することで、認知症の方の安全を確保するとともに本人及び家族の不安感を解消するため、実施するものであります。
現在、本年10月からの事業実施に向け関係団体と協議・検討を進めているところであり、認知症になっても住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けられる社会の実現を目指し、認知症の方やそのご家族への支援について引き続き取り組んでまいります。
市道中通須方線の道路改良工事につきましては、本川河川改修事業による須方橋、馬橋、番屋橋の3橋の架け替えに伴い、工事期間中の一般車両のう回や、増加する工事車両に対応するため、県の河川事業と連携して道路の改良に取り組み、国道432号との接続部である「中通小学校西口交差点」の拡幅工事が完了したところであります。
緊急自然災害防止対策事業のうち、楠通雨水ポンプ場整備工事については、機械・電気設備工事が概ね完成し、ポンプ場の運用を開始したところです。
これまでのポンプ場と比較して雨水排水の能力が大きく向上したことから、地区内の浸水被害の軽減に寄与できるものと考えております。
また、東野地区における浸水対策事業においては、在屋川河川改修工事の左岸護岸整備が完了し、引き続き右岸の護岸整備に着手してまいります。
特定都市河川浸水被害対策推進事業につきましては、大王地区において調整地整備工事の2期工事やマンホールポンプ整備工事に着手しております。先に運用を開始しております大王ポンプ施設の能力を十分に発揮する上でも、引き続き調整地の整備を進め、地区内の浸水被害の軽減を図ってまいります。
(仮称)賀茂川学園の設立に向けた取組につきましては、(仮称)賀茂川学園設立準備委員会において、新しい義務教育学校の校名の案を「賀茂川学園」に選定し、竹原市教育委員会会議において承認を得ております。
また、整備工事の間、賀茂川中学校の仮設校舎として東野小学校の一部を利用することに伴い、先月18日に賀茂川中学校を東野小学校へ仮移転したところです。
今後におきましては、設立準備委員会において、校章や校歌等の協議を行っていくなど、新しい義務教育学校の設立に向けて取組を進めてまいります。
公共施設ゾーン再整備事業につきましては、先の定例会において事業者の選定に向けた債務負担行為に係る予算を議決いただき、7月1日に公募型プロポーザルの募集要項等を公表し、現在参画を希望する事業者との官民対話などを進めております。
今後は、年内を目途に事業者から提案書の提出を受け付け、その後、提案内容を審査し、本年度末には事業者を選定することとしており、次年度以降は、設計業務や本格的な工事に着手してまいります。
引き続き、市民の皆様のご期待に応えるべく着実に取り組んでまいります。
次に、3点目の「健康で元気に暮らせるまちづくり」についてであります。
帯状疱疹ワクチン接種事業につきましては、高齢者の帯状疱疹発症とそれに伴う後遺症のリスクを軽減するため、4月から定期接種に位置づけられ、65歳以上の5歳刻みの年齢を対象とし、接種を開始しているところであります。
高齢者や免疫力の低下している人は重症化しやすく、また70歳代で発症のピークを迎えることから、引き続きワクチン接種による発症予防のため、接種体制の確保に取り組んでまいります。
産後ケア事業につきましては、これまでは広島県助産師会へ委託し助産所のみで実施しておりましたが、子どもの健やかな成長と子育てしやすい環境を醸成するため、今年度から宿泊型及び通所型の実施について、医療機関にも拡充したところであります。
助産所での利点に加え、出産前から馴染みのある医療機関で安心して相談やケアを受けられることから、既に8人の産婦が延べ31日利用されるなど、現在、双方の利用者が増加しております。
今後におきましても、子育ての負担や不安を軽減し、多様なニーズに応じた切れ目のない支援を推進してまいります。
妊婦健康診査支援事業につきましては、市内に分娩取扱施設がなく、また市内で妊婦健康診査を受診できる人も限定的であることから、市が実施する妊婦健康診査の受診者に対して、奨励金を交付しており、個別勧奨により申請を促すことで、今年度、これまで35人に交付したところです。
今後も経済的な理由で妊婦健康診査の受診を控えることがないよう取組を進めることで、妊婦及び胎児の健康増進を図ってまいります。
加えて、妊婦健康診査運営補助事業につきましては、妊婦の負担を軽減するため、市外の医療機関に赴くことなく妊婦健康診査が受診できるよう、市内の医療機関へ運営費の一部を補助するもので、今年度は6人の妊婦が延べ12回受診されております。
今後におきましても、安心して妊娠・出産に臨むことができるよう、身近な医療機関で健康診査が受診できる環境を維持するよう取り組んでまいります。
本定例会では、任期満了に伴う人権擁護委員の推薦に係る人事案件、市営住宅長寿命化計画に基づき東川住宅等の用途を廃止する条例案など、合計12件を上程しております。
令和6年度決算におきましては、これまでの歳出の見直しや財源確保の取組などにより、5年連続で基金が増加した一方で、大雨災害からの復旧事業や老朽化した公共施設への対応のほか、少子高齢化の進行や社会保障費の増大、さらには今後の経済情勢の不透明さを鑑みると、持続可能かつ安定的な財政運営を行っていくことが、これまで以上に重要であると認識しております。
今後も、必要な行政サービスを安定的に提供しながら安全・安心なまちづくりを着実に進めていくため、不断の行財政改革と中長期的な視点に立った財政運営に取り組んでまいります。
議案の詳細につきましては、この後、各担当から御説明申し上げますが、議員各位におかれましては、何卒、慎重に御審議いただいた上、適切な御決定を賜りますようお願い申し上げます。
令和7年9月
竹原市長 今榮 敏彦
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更新日:2025年09月05日