○竹原市環境基本条例
平成19年12月21日条例第16号
竹原市環境基本条例
目次
前文
第1章 総則(第1条―第7条)
第2章 環境の保全に関する基本方針等(第8条・第9条)
第3章 環境の保全に関する施策等(第10条―第23条)
第4章 竹原市環境審議会(第24条―第26条)
第5章 雑則(第27条)
附則
わたしたちのまち竹原市は,瀬戸内の美しい海と緑あふれる山々に抱かれ,まちの中央を流れる賀茂川の自然の育みと海の恵みによって栄え,安芸の小京都といわれる風光明媚で自然豊かなまちとして個性ある文化を創り出してきた。
しかし,近年,大量生産,大量消費,大量廃棄を基調とした社会経済活動や生活様式が定着する中で,廃棄物の増大,生活排水による水質汚濁,地下水のくみ上げによる地盤沈下など,人々の活動が環境に与える負荷は,自然の持つ復元能力を超え,地球的な規模の環境問題を引き起こし,人類の生存基盤を脅かすまでに至っている。
恵み豊かな環境の下で,健康で文化的な生活を営むことは,現在及び将来の市民の権利であり,わたしたちは,この環境を将来の世代に継承していく責務を有している。
わたしたちは,身近な環境をはじめ多様な生態系や地球環境の保全の意義を深く認識し,環境への負荷が少なく持続的に発展することができる社会の実現を目指して,地域から行動を起こし,すべての人々が相互に協力しあって,積極的に環境の保全に取り組んでいかなければならない。
ここにわたしたちは,竹原市に集うすべての人々の参加と協力により,水と緑に恵まれた潤いのある環境を守り,これを継承していくことを決意し,この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は,環境の保全について,基本理念を定め,市,事業者,市民及び滞在者の役割を明らかにするとともに,環境の保全に関する施策の基本となる事項を定めることにより,環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進し,もって現在及び将来の市民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において「環境への負荷」とは,人の活動により環境に加えられる影響であって,環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。
2 この条例において「地球環境の保全」とは,人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行,海洋の汚染,野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって,人類の福祉に貢献するとともに市民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。
3 この条例において「公害」とは,環境の保全上の支障のうち,事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染,水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。),土壌の汚染,騒音,振動,地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘削によるものを除く。)及び悪臭によって,人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。以下同じ。)に係る被害が生ずることをいう。
(基本理念)
第3条 環境の保全は,健全で恵み豊かな環境が市民の健康で文化的な生活に欠くことのできないものであることにかんがみ,現在及び将来の市民がその環境の恵沢を享受するとともに,人類の生存基盤である環境が将来にわたって維持されるように,適切に行われなければならない。
2 環境の保全は,健全で恵み豊かな環境を維持しつつ,環境への負荷の少ない健全な経済の発展を図りながら持続的に発展することができる社会が構築されることを旨として,すべての者の公平な役割分担の下に自主的かつ積極的に行われなければならない。
3 環境の保全は,地域における多様な生態系を健全な状態で確保するとともに,人と自然との豊かな触れ合いを保つことにより,人と自然が共生できるように,適切に行われなければならない。
4 地球環境の保全は,人類の共通の課題であるとともに市民の健康で文化的な生活を将来にわたって確保する上での課題であること及び私たちの生活が国際的な相互依存関係の中で営まれていることを認識し,国の内外の地域と連携しながらすべての事業活動及び日常生活において積極的に推進されなければならない。
(市の役割)
第4条 市は,前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり,環境の保全に対する基本的かつ総合的な施策を策定し,及び実施しなければならない。
(事業者の役割)
第5条 事業者は,基本理念にのっとり,その事業活動を行うに当たっては,当該事業活動に伴って生ずる公害を防止し,及び自然環境を適正に保全するために必要な措置を講じなければならない。
2 事業者は,基本理念にのっとり,物の製造,加工又は販売その他の事業活動を行うに当たっては,次に掲げる措置を講じなければならない。
(1) 製品その他の物が使用され,又は廃棄されることによる環境への負荷を低減するよう努めること。
(2) 再生資源その他の環境への負荷の低減に有効な原材料,役務等を利用するよう努めること。
(3) 製品その他の物が廃棄物となった場合に,その適正な処理が図られるようにすること。
3 前2項に定めるもののほか,事業者は,基本理念にのっとり,その事業活動に関し,環境への負荷の低減その他の環境の保全に自ら努めるとともに,市が実施する環境の保全に関する施策に協力するものとする。
(市民の役割)
第6条 市民は,基本理念にのっとり,環境の保全上の支障を防止するため,廃棄物の減量その他の日常生活に伴う環境への負荷の低減に努めなければならない。
2 前項に定めるもののほか,市民は,基本理念にのっとり,環境の保全に自ら努めるとともに,市が実施する環境の保全に関する施策に協力するものとする。
(滞在者の役割)
第7条 通勤,通学,観光旅行等により本市に滞在する者は,前条の規定に準じて環境の保全に努めるものとする。
第2章 環境の保全に関する基本方針等
(施策の策定等に係る指針)
第8条 市は,環境の保全に関する施策の策定及び実施に当たっては,基本理念にのっとり,次に掲げる事項を基本として,各種の施策相互の有機的な連携を図りつつ,総合的かつ計画的に行わなければならない。
(1) 大気,水,土壌その他の環境の自然的構成要素を将来にわたって良好な状態に保持すること。
(2) 森林,緑地,水辺地等における多様な自然環境を地域の自然的社会的条件に応じて体系的に保全すること。
(3) 自然と調和した潤いと安らぎある良好な都市景観を形成すること。
(4) 文化財,歴史的建造物その他の文化的構成要素の保全及び活用を図ること。
(5) 人と自然が豊かに触れ合い,共生することができる環境を確保すること。
(6) 廃棄物の発生の抑制及び適正な処理並びに資源の有効利用を促進すること。
(7) 地球環境の保全を図ること。
(環境基本計画)
第9条 市長は,環境の保全に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため,環境保全に関する基本的な計画(以下「環境基本計画」という。)を定めなければならない。
2 環境基本計画は,次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) 環境の保全に関する長期的な目標
(2) 環境の保全に関する施策に係る基本的な事項
(3) 前2号に掲げるもののほか,環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
3 市長は,環境基本計画を定めようとするときは,あらかじめ竹原市環境審議会の意見を聴かなければならない。
4 市長は,環境基本計画を定めたときは,速やかにこれを公表しなければならない。
5 前2項の規定は,環境基本計画の変更について準用する。
第3章 環境の保全に関する施策等
(環境基本計画との整合)
第10条 市は,環境に影響を及ぼすと認められる施策を策定し,及び実施するに当たっては,環境基本計画との整合を図らなければならない。
(環境影響への事前配慮)
第11条 市は,環境に影響を及ぼすおそれのある事業を行う事業者があらかじめその事業に係る環境の保全について適正に配慮するよう必要な措置を講じるように努めるものとする。
(規制の措置)
第12条 市は,環境の保全上の支障を防止するため,次に掲げる行為について必要な規制の措置を講じるものとする。
(1) 公害の原因となる行為
(2) 自然環境の適正な保全に支障を及ぼすおそれがある行為
(3) 前2号に掲げるもののほか,人の健康又は生活環境に支障を及ぼすおそれがある行為
(財政上の措置)
第13条 市は,環境の保全に関する施策の推進のため,必要かつ適正な財政上の措置を講じるよう努めるものとする。
(環境の保全に関する施設の整備等)
第14条 市は,環境の保全を図るための公共的施設の整備その他の事業を推進するものとする。
(資源の循環的利用等の促進)
第15条 市は,環境への負荷の低減を図るため,事業者及び市民による資源の循環利用,エネルギーの有効利用及び廃棄物の減量が促進されるよう必要な措置を講じるものとする。
2 市は,環境への負荷の低減を図るため,市の施設の建設及び維持管理その他の事業の実施に当たっては,資源の循環的利用,エネルギーの有効利用及び廃棄物の減量に積極的に努めるものとする。
(調査及び研究の実施)
第16条 市は,環境の保全に関する施策を適正に実施し,環境の状況を把握するため,必要な調査及び研究に努めるものとする。
(監視等の体制の整備)
第17条 市は,環境の保全に関する施策を適正に実施するため,環境の状況を把握するとともに,必要な監視,測定,検査等の体制の整備に努めるものとする。
(環境の保全に関する教育及び学習の振興等)
第18条 市は,事業者及び市民が環境の保全に関する理解を深めるとともに,環境の保全に関する活動の意欲が増進されるようにするため,環境の保全に関する教育及び学習の振興並びに広報活動の充実その他必要な措置を講じるものとする。
(市民等の自発的な活動の促進)
第19条 市は,事業者,市民又はこれらの者が組織する民間の団体が自発的に行う緑化活動,再生資源に係る回収活動その他環境の保全に関する活動が促進されるよう必要な支援の措置を講じるものとする。
(地球環境の保全の推進)
第20条 市は,市,事業者及び市民がそれぞれの役割に応じて地球環境の保全に資するよう行動するため,必要な措置を講じるよう努めるものとする。
(情報の提供)
第21条 市は,環境の保全に関する教育及び学習の振興並びに市民等が自発的に行う環境の保全に関する活動の促進のため,環境の保全に関する必要な情報を適切に提供するよう努めるものとする。
(年次報告)
第22条 市長は,環境の状況及び環境の保全に関する施策の実施状況について年次報告書を作成し,これを公表しなければならない。
(国及び他の地方公共団体との協力)
第23条 市は,環境の保全に関し広域的な取組を必要とする施策について,国及び他の地方公共団体と協力して,その推進に努めるものとする。
第4章 竹原市環境審議会
(設置)
第24条 環境基本法(平成5年法律第91号)第44条の規定により,竹原市環境審議会(以下「審議会」という。)を置く。
(所掌事務)
第25条 審議会は,市長の諮問に応じ,環境の保全に関し,次に掲げる事項を調査審議する。
(1) 環境基本計画の策定及び変更に関すること。
(2) 年次報告書に関すること。
(3) その他環境の保全に関する事項
2 審議会は,前項に定める事項について,市長に意見を述べることができる。
(組織)
第26条 審議会は,11人以内の委員をもって組織する。
2 委員の任期は,2年とする。ただし,補欠委員の任期は,前任者の残任期間とする。
3 委員は,再任されることができる。
4 前各項に定めるもののほか,審議会の組織及び運営に関し必要な事項は,規則で定める。
第5章 雑則
(委任)
第27条 この条例の施行について必要な事項は,市長が別に定める。
附 則
(施行期日)
1 この条例は,平成20年4月1日から施行する。
(竹原市環境審議会設置条例の廃止)
2 竹原市環境審議会設置条例(昭和48年竹原市条例第57号。以下「旧条例」という。)は,廃止する。
(経過措置)
3 旧条例第1条の規定により設置された竹原市環境審議会(以下「旧審議会」という。)は,第24条の規定により設置された審議会となり,同一性をもって存続するものとする。
4 この条例の施行の際現に旧審議会の委員に委嘱又は任命されている者は,この条例の施行の日に,第26条第2項の規定により審議会の委員として委嘱又は任命されたものとみなす。この場合において,その委嘱又は任命されたものとみなされる者の任期は,旧条例第4条の規定による旧審議会の委員としての残任期間と同一の期間とする。